
マンションの購入を検討する際、「都心か郊外か」という点を気にされる方は多いのではないでしょうか。
両者にはそれぞれ異なる利点と課題が存在し、その選択は、個人のライフスタイルや価値観に大きく左右されます。
本記事では、都心と郊外におけるマンションの特性を、客観的な視点から比較します。読者の皆様が最適な住まい選びをするための一助となれば幸いです。
都心・郊外マンションの違い
都心と郊外、「どちらが優れている」「どちらかが不正解」ということはありません。どちらを選ぶかは、ライフスタイルによって異なります。
| 項目 | 都心マンション | 郊外マンション |
|---|---|---|
| 価格 | 高額になりやすい | 手頃な価格帯が多い |
| 専有面積 | 狭い傾向 | 広い物件が多い |
| 交通の利便性 | 高め | 低め |
| 資産価値 | 下がりにくい傾向 | 変動しやすい傾向 |
| 生活施設 | 充実している(徒歩圏内で完結) | 点在している(車が必要な場合も) |
| 教育・子育て | 教育機関・習い事などの選択肢が豊富 | 自然豊か、待機児童が少ない傾向 |
| 住環境 | にぎやか、騒音の問題も | 静かで落ち着いている |
| ライフスタイル | 利便性、効率性を重視 | 穏やか、自然やゆとりを重視 |
都心マンションのメリット・デメリット
都心での暮らしは利便性が高く、多くの人にとって理想の住まいと捉えられているのではないでしょうか。暮らしを送る上で多くのメリットがありますが、その一方で都心ならではの考慮すべき点も存在します。
ここでは、都心のマンションが持つメリットとデメリットを見ていきます。
メリット①利便性が高い
都心では複数の鉄道路線やバス路線が利用できるため、通勤や通学が非常にスムーズです。乗り換えが便利であることはもちろん、電車が遅延した場合でも別のルートを使いやすいというメリットもあります。
また、生活に必要なあらゆる施設が徒歩圏内に揃っていることも大きな特徴です。大型の商業施設やデパート、スーパーマーケットはもちろん、公共施設、病院、クリニック、銀行、郵便局なども充実しており、日常の用事を効率よく済ませることができます。
都心には幼稚園や学校などの施設も多いため、お子さんの送り迎えなどの時間を短縮できるメリットもあります。
メリット②資産価値が下がりにくい
都心は多くの企業や教育機関などが集まっているため、住宅の需要が安定しています。
そのため「子どもが独り立ちした」「親と同居することになった」などの理由で住み替えが必要になった場合でも、売却がスムーズに進みやすいのがメリットです。また、すぐに売却せず賃貸物件として貸し出す選択肢も取りやすくなります。
将来のライフプランに柔軟性を持たせたいと考える人には都心のマンションがおすすめです。
デメリット①コストが高い
都心マンションは利便性の高さゆえ、物件価格が高額になりやすい点には注意が必要です。
公益財団法人 東日本不動産流通機構が発表している2025年9月の「月例速報マーケットウオッチ」によれば、都心3区(千代田区、中央区、港区)の中古マンション成約物件平均価格は1億2,950万円、埼玉県さいたま市の平均価格は4,551万円です。
物件価格には築年数や駅徒歩分数、物件の広さなども影響するため一概に「都心=高い」「郊外=安い」と言い切ることはできませんが、同じような条件の部屋では、都心マンションの方が購入価格が高くなる傾向にあります。
また、都心のマンションは駐車場代などのコストが比較的高くなる可能性があるため、購入後のランニングコストなども考慮して、無理のない資金計画を立てることが重要です。
デメリット②専有面積が狭い
都心マンションの代表的なデメリットとして、同じ予算では専有面積が狭くなる傾向にあることも挙げられます。
「月例速報マーケットウオッチ(同上)」によれば、都心3区の中古マンション成約物件平均専有面積は55.14㎡、埼玉県さいたま市の平均専有面積は67.21㎡となっています。
都心は土地の価格が非常に高いため、一つの敷地にできるだけ多くの住戸を建てる必要があり、結果として各住戸の面積がコンパクトになりがちです。郊外であれば3LDKや4LDKを購入できる予算であっても、都心では1LDKや2LDKといった間取りを選択せざるを得なくなるケースもあります。
予算を上げて専有面積を広めにとる、専有面積が狭くても間取りを分けられる物件を選ぶ、リノベーション物件を選んで取得価格を下げつつ機能面にこだわる、などマンション選びの条件を工夫するのも一つの手です。
デメリット③自然や静けさの確保が難しい
都心は郊外と比較すると緑が少ないエリアが多く、人や車の往来も盛んなので、立地によっては騒音が気になることもあるかもしれません。
ただし、都心でも静かな環境や豊かな自然が感じられる物件は存在します。
「緑が豊かな土地に住みたい」「閑静な場所が好き」という方は、内見時に自分の求める条件を満たしているかしっかり確認することが大切です。
郊外マンションのメリット・デメリット
都心の喧騒から離れ、ゆったりとした暮らしを求めるなら、郊外のマンションが選択肢に挙がります。都心と比べてゆとりのある生活が期待できる一方、長期的に考えると注意すべき点もいくつか存在します。
ここでは、郊外マンションが持つメリットとデメリットを具体的に見ていきます。
メリット①物件価格が手頃
郊外のマンションは都心に比べて土地の価格が安いため、同じ予算でもより広い物件や、築年数の新しい物件を購入できます。
また、月々の駐車場代も都心に比べて安価なことが多く、車を持つことを前提としたライフスタイルにも適しています。経済的な負担を抑えながら、理想の住まいを手に入れるための有力な選択肢となるでしょう。
メリット②専有面積が広い
郊外マンションの大きな魅力の一つは、広い専有面積を確保できる点です。同じ予算でも、郊外は都心よりゆとりのある3LDKや4LDKの間取りの物件を見つけやすい傾向にあります。
子どもの成長や家族構成の変化に合わせて部屋の使い方を柔軟に変えられたり、家族それぞれが趣味やリモートワークに集中できるプライベートな空間を確保できる、といったメリットもあります。
都心マンションは「専有面積の広い高額物件」や「リノベーション済みの物件」など条件を絞らないと3LDK~4LDKの部屋を購入するのは難しいですが、郊外ではゆとりを持った間取りを選択しやすくなります。
メリット③豊かな自然環境
郊外は周辺に公園や緑が多く、静かで落ち着いた環境が魅力です。
また、広い敷地にゆとりのある間隔でマンションが建っていることが多く、日当たりや風通しも良好な物件が見つかりやすいです。
デメリット①交通利便性が低い
郊外マンションのデメリットとして、交通利便性の低さが挙げられます。
都心への通勤・通学には、長い時間を要することが多く、毎日の移動が大きな負担となる可能性があります。例えば、片道1時間半の職場に週5日通勤した場合、1ヶ月で約60時間を移動に費やす計算になります。
さらに、郊外は駅周辺以外の商業施設や病院などが各所に点在していることが多く、移動に車が不可欠となるケースも少なくありません。最寄駅から徒歩圏内でない場合は、車での移動が中心となるライフスタイルとなります。
こうした点を踏まえると、毎日の通勤を重視する方や、車を所有する予定がない方にとっては、郊外での生活が不便に感じられるかもしれません。
デメリット②資産価値が変動しやすい
将来的に住宅を売却・住み替えすることを考えると、郊外の物件は資産価値が変動しやすい点に注意が必要です。厳密にいえば、特に駅から遠い立地は安定した需要が見込みにくく、購入時の価格を上回る可能性はかなり低くなります。
不動産の価値は、都心・郊外を問わず駅に近いかどうかに大きく左右されます。駅からのアクセスが悪いマンションを購入する場合は、一生住み続けることを前提として購入を検討するのが賢明でしょう。
都心と郊外、どちらを選ぶべき?チェックリスト
マンションを選ぶ際は、都心と郊外のどちらが優れているかではなく、あなたのライフスタイルにどちらが合っているかという視点が最も重要です。
「都心マンションに向いている人」「郊外のマンションが向いている人」どちらの項目にチェックが多いか確かめてみてください。
・毎日の通勤・通学時間を短縮したい
・日々の買い物や用事を徒歩圏内で済ませたい
・電車かタクシーでの移動を中心にしたい
・多くの人や情報、新しい刺激に触れる環境が好き
・将来住み替えをする可能性がある
・売却や賃貸利用も視野に入れたい
都心での暮らしは、時間と利便性を最大限に活用したい方に適しています。日々の通勤・通学時間を大幅に短縮できることは、都心に住む大きな理由の一つではないでしょうか。
また、都心では生活に必要なあらゆる施設が徒歩圏内に揃っているため、車がなくても不便を感じることはほとんどありません。
お子さんにとっても放課後に専門的な習い事に通いやすかったり、多様な文化施設に触れる機会も多く、好奇心や才能を伸ばしやすい環境と言えるでしょう。また、将来のライフプランがまだはっきりしない方や住み替えを検討している方にとっても、資産価値が下がりにくい都心のマンションは大きなメリットがあります。
一方で、自然豊かな環境や穏やかで静かな場所で過ごしたい方は、物件選びの条件に気を配る必要があります。
・予算を抑えつつ、より広い家で暮らしたい
・自然豊かな環境で子どもを育てたい
・車での移動を中心にしたい
・地域の人々とのつながりや、アットホームな雰囲気を大切にしたい
・静かで落ち着いた環境で過ごしたい
・購入後はずっと住み続けたい
郊外での暮らしは、広さや自然、そして穏やかな環境を大切にしたい方に理想的です。都心と比べて物件価格が手頃なため、同じ予算でもより広い家でのびのびと暮らすことができます。
また、郊外は大きな公園や緑地が身近にあるため、子どもを自然の中で健やかに育てたい方や、ガーデニングやアウトドアといった趣味を楽しみたい方にも魅力的な環境です。
都心の喧騒から離れた静かな場所で、地域の人々とのつながりを大切にしながら、穏やかな日常を送りたい方に最適な選択肢と言えるでしょう。
新築・中古の違いも重要
マンション選びは、都心か郊外かだけでなく、「新築」「中古」という選択でも大きく分かれます。
新築マンションの特徴
新築マンションは共用施設も含めて最新の設備・デザインを楽しめるのが最大のメリットです。誰も住んだことのない住まいで、最新のキッチンやバスルームを利用したいという方には新築マンションが向いているでしょう。
また、現在の耐震基準や省エネ性能を満たしているため、安心して長く暮らすことができます。
ランニングコストに関していえば、購入初期の共益費(管理費)は比較的安価に設定されていることが多く、月々の支出を抑えやすいという利点があります。ただし、建物の老朽化に合わせて修繕積立金は段階的に上昇していくのが一般的です。このため、将来的な費用負担が増える前に売却を検討し、住み替えを行うケースも見られます。
さらに、新築マンションは中古に比べて価格が高く、予算を抑えたい場合は立地や間取りを妥協しなければならない可能性が高まります。また、人気物件では抽選が行われるなど、購入できるかどうかに時間がかかり、入居のタイミングは原則として指定されるため、すぐに住みはじめたい方やライフプランに合わせて引っ越ししたい方には不向きです。
中古マンションの特徴
一方、中古マンションは予算と住まいの自由度を優先したい方におすすめです。新築に比べて価格が手頃なため、希望するエリアでより広い部屋を探せる可能性が高まります。
近年は都心・郊外ともに新築マンションの供給が減っており、新築にこだわるとそもそも選択肢が限られます。その点、中古マンションは市場に出回る物件数が多いため、エリアや築年数、価格など、さまざまな条件から物件を探すことができ、選択肢が広くなります。
一方で、中古マンションは新築と比較すると設備や内装の古さが気になるかもしれません。「物件価格を抑えつつ、好きなタイミングで新しい内装の部屋に住みたい」という方は、リノベーション済みの物件を選ぶのも一つの方法です。
都心か郊外か、自分に合ったマンションを選ぶ
都心と郊外、どちらにも明確なメリットとデメリットがあり、ご自身のライフスタイルや価値観によって選ぶべきマンションは異なります。
都心のマンションは、利便性や資産価値、効率的なライフスタイルを求める方や、充実したシティライフを送りたい方に最適です。
一方、郊外は価格の安さや専有面積の広さ、穏やかな環境を重視する方、広々とした家で自然を感じながらゆったりと暮らしたい方にぴったりです。
大切なのは、それぞれの特徴を理解し、どんな暮らしを求めているかじっくりと考えることです。「都心か郊外か」という視点だけでなく、「新築か中古か」「どんな設備を採用しているか」なども考慮して物件選びをしましょう。
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