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プレカット工法とは?メリット・流れをわかりやすく解説【リノベでも使える】

家を建てる際、木材をあらかじめ工場で切って準備しておく技術があることをご存じですか?これがプレカット工法と呼ばれるものです。

プレカット工法の普及により、昔ながらの「現場で職人が手作業で木を刻む」やり方から建築技術が一変し、今やほとんどの新築一戸建て建築でこの技術が採用されるようになりました。

この記事では、プレカット工法の仕組みや基礎知識を、おうちの購入を検討されている方向けに分かりやすく解説します。

目次

プレカット工法とは

プレカット工法とは、木造住宅を建てる際に使用する木材を、あらかじめ工場で機械加工しておく工法のことです。

従来は、熟練の大工職人が現場で木材を一本一本手作業で加工(墨付け・手刻み)していましたが、プレカット工法ではその作業をコンピューター制御された機械が行います。

加工された部材は現場へ運ばれ、指示通りに組み立てていくだけで済むため、施工の効率が大幅に向上しました。

プレカット工法の普及率

参照:林野庁「第1部 第3章 第3節 木材産業の動向(7)」

プレカット工法は主に木造の一戸建て住宅の建築に用いられています。

林野庁のデータによると、木造軸組構法におけるプレカット工法の普及率は1989年の7%から、およそ30年後(2018年)には93%にまで達しています。

プレカット工法の流れ

プレカット工法は、木材を加工してから現場で組み立てるという、効率的な流れで進められます。

①打ち合わせと図面の作成

まず、建物の設計図面をもとに、使用する木材や組み立て方について細かく打ち合わせます。この情報をもとに、プレカット業者が構造材の組み立て方を示した「プレカット図面」を作成します。

②データ入力と加工

作成されたプレカット図面が承認されると、そのデータは専用のCADソフトに入力され、加工機械を制御するCAMへ送られます。

CAMに沿う形で、木材の長さ、幅、高さ、継手、仕口などを自動的に加工を施します。

③検査と出荷

プレカット加工が完了した部材は、一本ずつ丁寧に検査され、合格したものだけが出荷されます。品質を確保するため、梱包材で保護された状態で、現場の施工工程に合わせて運搬されます。

④現場での組み立て

現場に搬入された部材は、プレカット図面に記載された番号や指示に従って組み立てられていきます。

従来の工法では現場で加工~組み立てまでの作業を行っていたのが、プレカット工法では組み立てのみを現場で行うため、作業の効率が大幅に上がります。

プレカット工法のメリット

プレカット工法は、主に木造住宅の建築において多くのメリットをもたらします。

①工期の短縮化

従来、大工職人が現場で木材を手作業で加工していたため、工期は1ヶ月から数ヶ月かかることもありました。

しかし、プレカット工法では事前に工場で部材を加工しておくため、現場での作業は数日間で完了することが可能です。工期の短縮へ大いに寄与する技術です。

②コストの削減

プレカット工法は、専門の工場でコンピューター制御された機械が加工を行うため、人件費や材料の無駄を大幅に削減できます。

手刻み加工に必要だった職人の人件費や、現場で発生する端材の処分費用を抑えられるため、全体的なコストダウンにつながります。

③発生材の削減

工場で加工を行うため、建設現場で木屑や端材といった「発生材」がほとんど出ません。これにより、産業廃棄物の収集運搬や処分にかかる費用を抑えることができます。また、木材の無駄が減るため、環境にも優しい工法と言えるでしょう。

プレカット工法のデメリット

多くのメリットがあるプレカット工法ですが、一方でいくつかのデメリットも存在します。

①複雑な加工に向いていない

プレカット工法はコンピューターによる自動加工のため、手刻みで行うような複雑で精巧な加工には不向きです。

最近では高精度な機械も開発されていますが、職人による繊細な手作業にはまだ及ばない部分もあるといわれています。

②木材の個性を活かせない

天然の木材には、木目や色合いといった一つひとつの個性があります。熟練した職人は、木目など木の特性を見極めて最適な使い方をしていました。

しかし、プレカット工法ではすべての木材を均一な材料として扱うため、木材本来の特色を活かすことは難しくなります。そのため、無垢材など木材の個性を重視する材質とはやや相性が悪いといえます。

③現場での微調整・技術継承が難しい

プレカット加工では、現場での再調整が不要なように接合部分にゆとりを持たせています。そのため、職人の技術と比べるとわずかに精度が落ちてしまうことがあります。

この微細な差を埋めるために、現在も従来の手刻み工法を採用している工務店も存在します。

また、プレカット工法の普及により、墨付けや手刻みといった伝統的な大工技術を習得する機会が減っています。そのため、技術の継承が難しくなっているのが現状です。

プレカット工法で加工する主な建築材

プレカット工法で加工するケースが多い建築材としては、建物の骨組みとなる「構造材」が挙げられます。

柱や梁(はり)、桁(けた)といった構造材の継手(木材を縦につなぐ部分)や仕口(木材を直角などにつなぐ部分)など、木造住宅の大部分でプレカット工法が利用されています。

また、近年では構造材以外にも以下のような建築材にプレカット工法が適用されるケースが増えています。

プレカット工法が使用される主な建築材具体的な種類
羽柄材建物の強度を高めるための小さな部材(筋かい、間柱、垂木など)
下地材床や屋根の仕上げ材を支える部材(床合板や屋根合板など)
階段材階段の段板や側桁(がわげた)など
外壁材外壁に使う板状のサイディング
内装仕上材フローリングや羽目板など

フローリングにプレカット工法を活用した例

プレカット工法は新築の木造住宅に用いられる技術として知られていますが、現在は他の建築現場でも用いられる例が増えてきています。

ここでは、マンションを中心にリノベーション事業を行っているパックシステムの例をご紹介します。

従来のフローリング工事では、現場でフローリングの板を一枚ずつカットしたり、柱や窓枠などの形状に合わせて切り欠きを入れたりする作業が必要であり、職人は床に座っての作業が長時間にわたり、体力的な負担が大きい点がデメリットだといわれていました。

プレカット工法では、事前に測量したデータをもとにフローリングをすべて工場で加工します。

現場に届くのは部屋の形に合わせてカットされ、番号が振られた板だけで、職人は現場で図面を見ながらパズルのように組み立てるだけで済みます。

工期が大幅に削減される(完成までの期間を早められる)ほか、近隣住人への騒音や木くずの被害を最低限に抑えられるため、パックシステムではほとんどのフローリング工事にプレカット工法を採用しています。

まとめ

プレカット工法は、木造住宅の骨組みだけでなく、フローリング工事などの内装リノベーションにも幅広く活用されています。工場で事前に木材を加工するこの工法は、日本の木造建築において主流となり、さまざまなメリットを生み出しています。

今後、プレカット工法はさらに進化し、より複雑な形状やデザインにも対応できるようになっていくと考えられます。

リノベーションを考える際は、プレカット工法を導入しているかどうかも、一つの判断基準に加えてみましょう。

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