
高級ホテルが追求する空間は、流行に左右されない普遍的な美しさと、生活感を感じさせない洗練された設計によって成り立っています。ホテルの世界観を住宅に取り入れる空間づくりは、日常をよりラグジュアリーな空間に仕立てます。
ここでは、自宅を非日常の安らぎ空間に変える、具体的なリノベーション事例とデザイン手法をご紹介します。
ホテルライクなリノベーション事例①落ち着いた空間を演出する光

ホテルライクな空間では、光源をなるべく隠して明るすぎずムードのある落ち着いた雰囲気を演出することが重要です。実際のラグジュアリーホテルの客室でも、限られた空間を広く落ち着いて見せる目的で間接照明が多く用いられています。
この事例では、折り上げ天井に間接照明を取り入れ、空間全体に柔らかな明るさを実現しました。
ホテルライクなリノベーション事例②色数を絞ったワントーンコーディネート

白、グレージュ、薄いグレーといった中間色やモノトーンを中心に、色数を最小限に絞ったワントーンコーディネートを取り入れました。空間全体の色調を合わせるのも、ホテルライクなリノベーションにおけるポイントの一つです。
この事例では、リビングダイニングの床・壁を白系統で統一し、カウンター上のスペースにグレーのタイルを取り入れることで調和の取れた空間をデザインしました。
ホテルライクなリノベーション事例③黒のアクセントで都会的なラグジュアリー空間を演出

ホワイトをベースカラーとしたミニマルな空間に黒のアクセントを入れて輪郭を引き締める空間づくりも、都会的な高級感を与えるのに最適です。
この事例では、建具や収納やキッチンの扉面材をマットブラックで統一し、白を中心とした空間とのコントラストを際立たせることで、モダンで洗練された高級感を表現しました。
こうした黒のコントラストを用いるデザインは、アーバンライクな雰囲気を演出するラグジュアリーホテルでも多く採用されています。
ホテルライクなリノベーション事例④上質な素材感で空間に深みを

ホテルライクなリノベーションではミニマルなデザインを取り入れることが多いからこそ、素材そのものの持つ上質な重厚さを主役とする空間づくりも大切です。
この事例では、キッチンに白の大理石調タイルをアクセントウォールとして取り入れ、さらにクオーツストーン(人工大理石)の天板を組み合わせています。また、キッチンの水栓や取っ手をゴールドにすることで、フェミニンかつ重厚感のあるキッチン空間に仕上げています。
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ホテルライクなリノベーション事例⑤寝室を格上げする「ヘッドボードの造作」

寝室をホテルのスイートルームのように品格ある空間に高めるには、ベッドヘッドの造作を取り入れるリノベーションを行うのも一つの手です。
この事例では、ベッド周りを格式高く見せるための造作収納デザインを取り入れました。ベッドの幅に合わせてヘッドボードを壁面に造作し、その裏側にはライン状の間接照明を入れています。
通常のリフォームやDIYでは、壁に埋め込むような収納を作るのは構造上難しいことが多いですが、間取りから変更できるリノベーションだからこそ、壁を自由に操作して空間を有効活用できます。
ホテルライクなリノベーション事例⑥上品な奥行きを出すアクセントウォール

単調になりがちなワントーンの空間には、上品なアクセントウォールで奥行きと安らぎをプラスしましょう。
こちらはリビング空間にグレー系のアクセントウォールを取り入れた事例です。アクセントウォールの上部に間接照明を設置することで、素材のテクスチャがより繊細に浮かび上がり、ミニマル空間に陰影を与えて視覚的な奥行きと安らぎをもたらしてくれます。
ホテルライクなリノベーション事例⑦質感にこだわるマットブラック

ホテルライクな空間を作り出すためには、生活感の出やすいアクセサリーにこだわることも非常に重要です。
この事例では、ドアノブや水栓、ペーパーホルダーなど、トイレの空間のいたるところにマットブラックの素材を取り入れました。光を反射しすぎず、重厚な高級感を表現できるマットな質感にこだわって機能部品を選んでいます。
ホテルライクなリノベーション事例⑧暮らしにゆとりを生む水回り

水回りの空間には、見た目の高級感だけでなく快適な時間を維持する「ゆとり」を持たせることが重要です。
ゆとりある機能性を重視し、この事例ではロングカウンターにダブルボウルの洗面器と5面の大きな鏡を採用しました。複数人が同時に身支度をするシチュエーションでも便利でストレスフリーな生活を送ることができます。
ホテルライクなリノベーション事例⑨セカンド洗面台+オープンクローゼットで生活空間をインテリアの一部に

プライベートな快適性を追求し、機能的かつ視覚的にも開放感を与える空間を実現することも重要な要素です。
この事例では、主寝室にコンパクトなセカンド洗面カウンターを設け、プライベートな快適性を高めました。また、その隣にはハンガーレールを組み合わせた「見せる収納」としてのオープンクローゼットを設けています。
さらに間仕切りとして透明の黒枠ガラス扉を採用することで、視覚的な広がりとモダンな雰囲気を演出できます。
ホテルライクなリノベーション事例⑩メゾネットを活かしてゾーニング

「メゾネット物件のリノベーション」という特性を最大限に活かし、ホテルのスイートルームのような明確なゾーニングを行い、上質な住み心地を実現します。
パブリック(LDK・水回り)とプライベート(寝室)を上下階で分けることで、ワンフロアでは得られないリゾートホテルのヴィラのような住空間を演出しました。
天井高を活かした大きな窓から自然光がたっぷりと入る構造を最大限に生かすため、壁と天井は白や淡いグレージュで統一されています。これにより視覚的な広がりが生まれ、より開放感が生まれています。
ホテルライクなリノベーション事例⑪大理石調タイルで空間の連続性を高める

ミニマルな空間にホテルのようなスケール感と上質な統一感をもたらすためには、床材やキーカラーの連続性を与えることも重要です。
この事例では、玄関に用いている黒い大理石調の床材を他の空間にも採用しています。

ドレッサールームの床は、玄関に採用されているものと同系色の大理石調タイルを取り入れています。
上記のように、材質やキーカラーに連続性をもたせるデザインはラグジュアリーホテルにおいても多く用いられています。
ホテルライクなリノベーション事例⑫高級スパの質感でリラックスできるバスルーム

バスルームを単なる機能空間ではなく、プライベートスパのような非日常的なリラックス空間と捉えて空間設計することにより、さらにホテルライクで上質な住環境になります。
この事例では、バスルームに木目調の高級感あるタイルとライン照明を使用し、高級スパのような雰囲気を演出しました。
あらゆる空間にホテルライクな趣を加えたリノベーションを
住まいの空間をホテルのようなラグジュアリーで落ち着いた世界観に統一するには、デザインに意匠を凝らしたリノベーションが必要です。また、「見た目の美しさ」だけでなく機能性や家事の利便性に注目したリノベーションができるかどうかもしっかりと見分ける必要があるでしょう。
自宅をリノベーションしたい方、リノベーション済み物件の購入を検討されている方は、事例探しや実際の内覧を通じて自分に合ったリノベーションの方向性を探ってみることをおすすめします。
