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掃き出し窓とは?目隠しにおすすめのアイデアをご紹介

リビングや居室に大きな開放感を与えてくれる掃き出し窓。光をたっぷり取り込み、外とつながる気持ちの良い空間を作り出してくれます。

一方で、その大きな窓は、外からの視線や熱気、寒さなど、暮らしの快適さを損なう原因になることも。リノベーション・リフォームを検討される方はどんな掃き出し窓を採用するか、目隠しなどの工夫が必要かよく検討する必要があるでしょう。

この記事では、掃き出し窓の基礎知識や目隠しにおすすめなアイデアをお伝えします。

目次

掃き出し窓とは

掃き出し窓とは、下枠が床面まである床から高さのある、人が出入りしやすい大きな窓のことです。かつてほうきで掃除したゴミをこの窓から庭へ掃き出していたことからこの名前が付いたとされています。

左右にスライドして開閉する「引き違い窓」もしくは片方が固定されている「片引き窓」が主流です。

掃き出し窓と腰高窓の違い

出窓タイプの腰高窓はカウンターとして利用できる場合があります

住宅によく採用される窓として、掃き出し窓のほかに「腰高窓」があります。

腰高窓は大人の腰ほどの高さから上にある窓であり、掃き出し窓は窓の下枠が床と同じ高さか、ごくわずかな段差しかないのが大きな特徴です。

掃き出し窓のメリット・デメリット

一戸建て・マンション問わずあらゆる住宅で取り入れられており、暮らしやすくするための多くの利点があります。

メリット、デメリットについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット①開放感が生まれる

掃き出し窓は床から天井近くまであるため、外の景色をダイナミックに取り込み、部屋全体に開放感を与えてくれます。

掃き出し窓がある部分は壁の大部分が窓になるので、室内に光が差し込んで部屋が広く明るく感じられます。

特に庭やバルコニーに面した場所に設置することで外の空間との一体感が生まれ、より広々とした印象になります。

メリット②出入りしやすい

人が自由に出入りできる設計になっているため、庭やベランダへの移動がスムーズになります。高さがあるため、大きな家具や家電を搬入・搬出する際にも便利です。

万が一の災害時には、玄関以外の避難経路としても役立ち、安全性が高まります。

メリット③採光と風通しが良い

窓の面積が広いため、光をたっぷり取り込むことができ、部屋が明るくなります。日中、照明を使わなくても十分な明るさを確保できるでしょう。

また、風通しも良いため、窓を開けるだけで室内に新鮮な空気を取り入れ、自然な換気ができます。日当たりの良い南向きに設置すると、冬は暖かく、夏は風を取り込んで涼しく過ごせるため、冷暖房の効率も高まります。

デメリット①断熱性・防音性が低い

開口部が大きいことはメリットである反面、デメリットにもなります。外の熱気や冷気が室内に入りやすく、夏は暑く冬は寒くなりがちです。その結果、エアコンなどの冷暖房に頼ることになり、光熱費が高くなる可能性があります。また、音も通しやすいため、外の騒音が気になる、あるいは室内の音が外に漏れてしまうという問題も生じやすくなります。

デメリット②プライバシーや防犯面

窓が大きいと、外から室内の様子が見えやすくなります。特に人通りの多い場所に面している場合、プライバシーの確保が課題になります。

カーテンを閉めれば視線は遮れますが、開放感というメリットが損なわれてしまいます。また、1階の掃き出し窓は、侵入経路となるリスクも高まるため、防犯対策が非常に重要になります。

デメリット③衝撃に弱い

ガラス面積が大きい掃き出し窓は、台風時の飛来物で破損・飛散のリスクが高まります。

網入りガラスは主に防火(延焼防止)目的のガラスで、台風対策としての耐衝撃性は高くありません。

台風対策には、合わせ(積層)ガラスや飛散防止フィルム、雨戸・シャッターの併用が有効です。必要に応じて強化ガラスやサッシの耐風圧等級も検討しましょう。

【室内編】掃き出し窓の目隠しアイデア

掃き出し窓は、外の景色や光をたっぷり取り込めるのが魅力です。しかし、その開放感ゆえに、外からの視線が気になることもあります。ここでは、室内からできる掃き出し窓の目隠しアイデアをいくつかご紹介します。

カーテンやブラインドで視線を遮る

最も一般的で手軽な方法が、カーテンやロールカーテン、ブラインドなどを取り付けることです。カーテンやブラインドは視線を遮るだけでなく、遮音・遮熱の効果があります。

特に、光を通しながらも外からの視線を遮るレースカーテンや、日差しを調整できるブラインド、ロールカーテンは、利便性が高くおすすめです。

特殊なガラスを使用する

このお部屋のように窓の一部を特殊なガラスにするケースも

より根本的な対策として、窓ガラス自体をプライバシー保護機能のあるものに変える方法もあります。

例えば、表面がデコボコした型ガラスは、外から人のシルエットがぼんやりとしか見えません。また、ガラスとガラスの間に乳白色の特殊な膜を挟んだガラスは、外から中の様子がほとんど見えないため、高いプライバシー効果が期待できます。

一度設置すれば手入れの手間がかからず、常に視線を遮れるのがメリットです。

ガラスフィルムを貼る

気軽に、そしてデザイン性を楽しみながら目隠ししたいなら、ガラスフィルムを貼るのも良いでしょう。

ガラスフィルムは、ホームセンターやオンラインストアで手軽に入手でき、初心者でも簡単に貼り付けられます。曇りガラスのようにシンプルに視線を遮るものから、模様が入ったデザイン性の高いものまで種類も豊富です。

適度に光を取り入れながらプライバシーを守りたい方におすすめです。

【外側編】掃き出し窓の目隠しアイデア

掃き出し窓のプライバシーを守るには、屋外からの対策も有効です。

掃き出し窓の外側にある庭やベランダのスペースを活かすことで、視線を遮りながらも、外とのつながりを感じられる空間を作ることができます。

フェンスや壁で遮る

一軒家の場合、道路や隣家との境界にフェンスや壁を設けるのがよいでしょう。外壁や目隠しフェンスは、プライバシーを完全に守ることができ、安心して過ごせる空間を作り出します。

ただし一度設置すると簡単に動かせないため、慎重な計画が必要です。また、マンションにお住まいの場合は難しい選択肢になります。

植栽を植える

人工的な構造物ではなく、自然の力で目隠しをしたい場合は、植栽がおすすめです。生垣や背の高い木を植えることで、外からの視線を柔らかく遮ることができます。

季節によって葉の色が変わったり、花が咲いたりする植物を選べば、目隠しだけでなく、景観を楽しむこともできます。

植物の成長には時間がかかり、定期的な手入れが必要になるので、ガーデニングが趣味の方におすすめな方法です。

オーニングやシェードを使う

日差しや視線をカットしたい場所には、オーニングやシェードが便利です。これらのアイテムは、必要な時だけ広げて使うことができるため、開放感も確保したいという方におすすめです。

日差しを遮ることで室内の温度上昇を抑え、冷房効率を高める効果も期待できます。設置場所によっては工事が必要な場合もありますが、デザインも豊富で、外観のアクセントにもなります。

ただし、マンションの場合はオーニングやシェードの設置に制限がある場合も考えられます。リフォーム・リノベーション等で取り入れる場合はあらかじめ確認しておきましょう。

リノベーション・リフォームにおける注意点

掃き出し窓のリノベーションやリフォームを検討する際は、メリットだけでなくデメリットも考慮し、慎重に進める必要があります。特に以下の3つの点に注意しましょう。

窓の機能性

掃き出し窓は比較的断熱性・防音性が低くなるというデメリットがあります。窓の取り替えを含むリノベーション・リフォームを行う際は、窓の機能性にも注目してみましょう。

断熱性・防音性を重視する場合は、以下のような素材を用いた掃き出し窓を選ぶのがおすすめです。

複層ガラス2枚以上のガラスの間に空気層を持つガラス。熱を伝えにくく、断熱効果を高める。
樹脂サッシ樹脂素材を使用したサッシ(フレーム部分)。熱の伝わりをさらに抑え、結露の発生も防ぎやすくなる。

特にマンションの場合は窓やサッシは、建物の共用部分とみなされることが多いため、個人の判断で交換や修理ができないケースも存在します。その場合は既存の窓の内側にもう一つ窓を設置する「二重サッシ」を取り入れることがあります。

特に築年数の経ったマンションでは、窓のサッシが竣工当時のままになっている場合が多いです。そのため、弊社で築年数の古いマンションを施工する場合、管理組合に申請してより断熱性・遮音性に優れた二重サッシの窓に取り替えます。

その際は屋外側を複層ガラス、室内側を樹脂コーティングにしたサッシを選定し、「カバー工法」と呼ばれる技術を用いて施工していきます。

防犯・プライバシー対策

特に庭や低層階のバルコニーに面した掃き出し窓は空き巣などの侵入経路になりやすいため、防犯対策が必要になります。

割れにくい素材の防犯ガラスを選ぶことで、窓からの侵入を防ぐ効果を高めることが大切です。

複層ガラスは強度を高める効果もあるため、防犯対策にもおすすめです。他にも、以下のような対策が挙げられます。

補助錠窓に複数の鍵を取り付けて侵入に時間がかかるように。
シャッター・雨戸必要に応じてシャッター、雨戸を設置して防犯・自然災害対策に。

自分の暮らしに合った掃き出し窓を選ぶ

リビングや居室に開放感を与えてくれる掃き出し窓。光と風をたっぷり取り入れ、室内に外とのつながりや開放感を与えてくれます。

しかし、プライバシーや防犯面、断熱性など、いくつかのデメリットがある点には注意が必要です。例えば「線路に面した部屋には防音目的で二重サッシを採用する」「通行人からの視線を遮るためバルコニーに植栽、室内にブラインドを設置する」といった工夫が必要になることもあります。

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