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湾岸エリアの災害リスクは本当に高いのか?タワーマンションの現状を探る

湾岸エリアは液状化や冠水などの災害リスクが心配な方は多いでしょう。家選びでも重要な基準となることが多いと思います。

海沿いの埋立地である以上、一定のリスクがあるのは事実ですが、現在は対策が進んでおり、危険な地域ではないと考えています。

この記事では、居住区として人気があり、多くのタワーマンションが建ち並んでいる中央区の月島・勝どき・晴海エリアの情報をもとに、湾岸の災害リスクと対策、家選びのポイントなどを解説します。

※本記事は記事執筆時点(2026年)の情報をもとにしているため、現在の情報と異なる場合があります。

目次

湾岸エリアで想定される災害リスク①地震

湾岸エリアの物件選びで、地震の影響を気にされる方は多いでしょう。地震によるリスクは大きく「液状化」「津波」「長周期地震動」に分けられます。

液状化リスク

「東京の液状化予測図 令和5年度改訂版」
参考:東京都建設局「東京の液状化予測図 令和5年度改訂版」

湾岸エリアの大半は埋立地であり、内陸部と比較すると実際に液状化の可能性が比較的高いエリア(予測図のピンク色や黄色)に指定されていることがわかります。

東日本大震災時の被害

実際に過去に起きた被害を見てみましょう。2011年の東日本大震災では、千葉県の浦安市を中心に一部の埋立地で深刻な液状化被害が発生しました。

湾岸エリアに建つタワーマンション

しかし、近年の湾岸エリアに建つタワーマンションは、地下深くにある非常に硬くて強固な地盤(支持層)に到達するまで、何十本もの太い杭をしっかりと打ち込んで建物を支える構造になっています。そのため、地表の土が液状化しても、マンション自体が傾いたり倒壊したりする危険性は低いとされています。

東日本大地震の日、小生は東京湾岸の晴海にいた。(中略)橋はコンニャクのように繰り返し捻れ、崩壊するかに思えた。(中略)幸いにも晴海の高層ビルは安全であった。免震の高層ビルという高い建築技術レベルと普及に有り難さを感じた。

https://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/miscellaneous/616

東日本大震災の時の体験記を見ると、地面に液状化のような現象が見られても、タワーマンションの安全性はしっかりと保たれていたことがわかります。

津波リスク

東京湾は入り組んだ地形で水深が浅いため、巨大な津波が直接押し寄せる可能性は低いとされており、都の想定でも最大で2.6m程度との情報が出ています。

2011年の東日本大震災の際にも、晴海エリアには1.3m程度の津波が到達しましたが、大きな被害は確認されていません。

また、湾岸エリアの海岸線には海抜以上の高さを持つ強固な防潮堤や、巨大な水門が整備されています。例えば、近年注目を集める「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」では、予想される最大規模の津波や高潮に備えるため、A.P.+6.5mという非常に高い防潮堤が敷地の周囲に整備されています。

長周期地震動リスク(大きな揺れ)

南海トラフ地震のように遠くで発生した巨大地震では、埋立地などの比較的柔らかい地盤では揺れが増幅されます。つまり、タワーマンション(特に高層階)では、地上よりも地震が大きく長く感じられる可能性があります。

タワーマンションの建物自体は免震構造や制振構造などの高度な建築技術によって倒壊しないようしっかりと設計されていますが、家具などが倒れる被害には注意しなければなりません。

家具を壁へしっかりと固定したり、背の高い家具を置かないようにしたりするなど、事前の防災対策が重要です。

湾岸エリアで想定される災害リスク②水害

参考:国土地理院「重ねるハザードマップ」
参考:国土地理院「重ねるハザードマップ」

地震や津波に加えて、大型台風やゲリラ豪雨による高潮や内水氾濫といった水害によるリスクが気になる方もいらっしゃると思います。

国土地理院が提供している「重ねるハザードマップ」を確認してみると、湾岸エリアは一部を除いて広く水害リスク地域に分類されていることがわかります。この辺りは同じ湾岸エリアでも河川の近さや土地の高さによってリスクが異なるため、実際に住まい探しをする段階で具体的に調べることをおすすめします。

また、先ほどの津波リスクの項目でも触れたように、湾岸エリアの海岸線や河川沿いには、防潮堤巨大な水門が街全体を守るように整備されています。湾岸の各エリアは行政によるこうしたハード面の水害対策が最も進んでいるエリアの一つでもあるため、実際の被害リスクはかなり低く抑えられるといわれています。

タワーマンションで注意すべき二次災害

湾岸エリアに限らず、タワーマンションに住む際はインフラの停止によって引き起こされる二次災害もリスクの一つだといわれています。

過去の災害による被害

2011年の東日本大震災で液状化被害を受けた浦安市では、上下水道が完全に復旧するまでに約1ヶ月もの時間を要した地域がありました。

また、2019年の台風で大規模な冠水が生じた武蔵小杉では、タワーマンションの地下に設置されていた電源設備が浸水してショートを起こし、停電や断水が1週間以上にわたり続くという事態が発生しました。

上記の事例は湾岸エリアでの被害ではなく、こうした災害への対策は年々強化されています。将来的にこうした被害が湾岸エリアでも発生する可能性もあるということは念頭に置いた方がよいと思います。

※参考:田村修次「東京湾ウォーターフロントにおける液状化被害」

湾岸でマンション探しをする際の注意点

これから湾岸エリアでタワーマンションを探す方が、実際に確認しておきたい注意点をご紹介します。

電気設備の位置

武蔵小杉での冠水被害の教訓を生かし、国土交通省ではマンションの電気設備や非常用発電機を浸水リスクのない2階以上の高層階や屋上に設置するなどの対策を呼び掛けています。

また、タワーマンションでは、避難所の収容人数の問題などから基本的に在宅避難が推奨されます。そのため、インフラが長期間止まる有事に備えた準備が必要です。マンションごとの災害備蓄も調べておくと安心でしょう。

例えば、晴海エリアの人気タワーマンション「パークタワー晴海」では、非常用発電設備をあえて2階に設置して、非常用エレベーターや共用部の保安照明、さらには災害時の拠点となる共用施設へ電力を供給する仕組みをとっています。

免震構造・制震構造

長周期地震動による被害を減らすには、耐震構造だけでなく、激しい揺れを逃がすための「免震構造」、もしくは揺れそのものを吸収する「制震構造」が採用されているかどうかを確認しましょう。

参照:パークタワー晴海「構造・設備」

先ほどのパークタワー晴海(2019年築)を例に挙げると、建物の根元で揺れを絶縁する免震構造と、建物内部で揺れを吸収するDFS(デュアル・フレーム・システムと呼ばれる連結制振構造)を併用した高度なハイブリッド構造を採用しています。

マンション独自の防災備

湾岸エリアの大型タワーマンションには非常に多くの住民が暮らしているため、有事の際に行政の指定避難所に入りきることは難しく、原則として自宅に留まる在宅避難が基本となります。

そのため、マンションの購入を検討する際は数日間の停電に耐えられる非常用発電機の燃料があるか、簡易トイレや飲料水などを保管した備蓄倉庫が備わっているかなどを確認しておくと安心でしょう。

パークタワー晴海では、3日分の非常用発電機用の燃料が常備されているほか、共助に必要な機材を中心に取り揃えた防災備蓄倉庫を、2階から上の各階にそれぞれ設置しています。

湾岸・タワーマンション=危険 ではない

「湾岸エリアの埋立地に建つタワーマンション」と聞くと、大地震が起きたら液状化で建物ごと沈んでしまったり、倒壊してしまったりする危険地帯なのではないか、という誤解を持たれがちです。

しかし実際は、最新の建築技術によって建物そのものが致命的な被害を受けるリスクはかなり低く抑えられています。

一方で、液状化に伴う道路や上下水道といったインフラの停止、タワーマンション高層階特有の長周期地震動による大きな揺れ、そして地下の浸水に伴う停電リスクといった被害には備えが必要です。

前提として、どのエリアにも大抵何らかの災害リスクが存在し、あらゆるリスクが低い土地は(特に都心においては)地価が非常に高くなります。ですから、「湾岸エリアは危険だからやめるべき」というわけではなく、起こりうる被害を想定した対策や家選びが大切だと考えています。

これから湾岸エリアへの居住を検討される方は、水害からマンションを守る電気設備の配置や、免震・制震構造といった「ハード面」と、充実した防災備蓄倉庫などの「ソフト面」が両立している物件をしっかりと見極めることが重要です。

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