
マンションのリノベーションでは、壁を動かしてLDKを広げたり、部屋数を増減したりと、暮らし方に合わせて間取りを調整できます。
一方で、配管や窓、既存構造との兼ね合いから、大きく変えないほうが合理的なケースもあります。
マンションリノベーションを手がける弊社が、実際の施工事例をもとに、どのような間取り変更ができるのか、考え方とあわせて紹介します。
間取り変更事例①部屋数を変えずにLDKを広げる

部屋数を維持したまま、間仕切りの位置を調整してLDKを広くした事例です。
個室を減らさずに共有空間へゆとりを持たせられるため、家族それぞれの部屋を確保しながら、リビング・ダイニングの広さも重視したい場合に取り入れやすくなります。
「部屋数は維持したいが、LDKにはもう少し広さがほしい」という場合は、既存の部屋数をそのままに空間配分を見直すだけでも、住み心地を変えられます。
間取り変更事例②2LDKを1LDKに

2LDKから1LDKへ変更し、個室を一つ減らした分、LDKを広く確保した事例です。
単身者やDINKSなど、部屋数よりも共有空間の広さを重視する暮らしでは、個室を無理に残すより、LDKへ面積を配分したほうが使いやすいことがあります。
この物件では事務所利用も可能だったため、住居だけでなく仕事場として使うことも想定した、余白のある空間構成にしました。

こちらの事例では、販売時点では1LDKとしながらオプション工事で2LDKへ変更できるよう設計しています。
今の開放感を優先しつつ、将来的に個室が必要になった場合にも対応できるよう、最初から間仕切りを追加できる余地を残した事例です。
間取り変更事例③和室を小さな洋室へ

既存の和室をそのまま洋室へ置き換えるのではなく、位置と広さを見直し、小さなテレワークスペースとして再構成した事例です。
以前は和室として使われていた空間を、現在の生活スタイルに合わせてコンパクトな洋室へ変更しています。在宅勤務や書斎など、長時間過ごす大きな個室ではなくても、独立した作業スペースがあることで使い道が生まれます。
既存の部屋をそのまま残すのではなく、「現在の暮らしでこの部屋をどう使うか」から役割を見直しました。
また、間取りとしては個室の位置を調整することで、LDK側の窓面を広く確保しています。
部屋数だけを優先すると、明るい窓際を個室で細かく分けてしまうことがあります。家の中で長く過ごすLDKへできるだけ自然光を取り込むため、個室の位置や大きさを調整することも間取り変更の考え方の一つです。
スペースを狭くした洋室では、室内窓を設けて隣接する空間から光や視線の抜けを取り込む方法を取りました。
間取り変更事例④あえて間仕切りを作らない0LDK

完成時点では個室をつくらず、大きなワンルームのような「0LDK」として仕上げた事例です。
リノベーション後に完成した間取りへ購入者が暮らしを合わせるのではなく、契約後に家族構成や生活スタイルを聞き、必要な部屋数に変更できるようにしています。
一人暮らしや二人暮らしの間は広い空間をそのまま使い、将来的に個室が必要になった段階で間仕切りを追加するといった考え方もできます。
後から間仕切りを設置する場合は、単に壁を立てられるスペースがあればよいわけではありません。
弊社では、将来的に個室を増やせる余地がある住戸では、間仕切りを追加した後も部屋として使いやすいよう、壁位置やエアコンの設置スペースなども考慮してリノベーション空間を設計しています。「今は広く、必要になったら分ける」という使い方を想定しておけば、ライフスタイルの変化にも対応しやすくなります。
間取り変更事例⑤個室を増やして3LDKに
1LDKから3LDKへ変更し、個室数を増やした事例です。
同じ専有面積でも、LDKの広さを優先するか、個室数を優先するかによって間取りは大きく変わります。ファミリーで暮らす場合、それぞれの寝室や子ども部屋を確保するために、LDKの一部を個室へ振り分けることもあります。
一方で、部屋数を増やすほど一室ごとの面積は小さくなり、各部屋の開放感も減ってしまうため、それぞれの部屋に必要な広さがあるかを見ながら決めることが大切です。
間取り変更事例⑥レイアウトを対面キッチンに
独立していたキッチンを、リビング・ダイニング側へ向いた対面式へ変更するリノベーション事例です。
空間のつながりで開放感が生まれ、料理中もリビング側の家族とコミュニケーションを取りやすくなるため、パックシステムのリノベーションでもよく用いている間取り変更です。
ただし、マンションでは管理規約や既存配管の条件、現実的な施工コストなどの事情で移動できる範囲が限られ、必ずしも好きな位置へ自由に移せないケースも多くあります。
そのため既存の配管位置をできるだけ活かしながら、向きやレイアウトの変更で工事費と使い勝手のバランスを取ることも重要になってきます。
マンションの間取りはどこまで変更できる?
マンションでは、専有部分の中であれば比較的自由に変更できる部分もありますが、建物の構造や共用部分、配管などによって制約があります。
間取りを大きく変えることだけがリノベーションではなく、既存の良い部分を残しながら必要な箇所だけ調整することも重要です。
間仕切り変更は比較的取り入れやすい
室内の間仕切り壁を動かし、LDKや個室の広さを調整する変更は、比較的取り入れやすい方法です。
例えば、「個室を少し小さくしてLDKを広げる」「2部屋を1部屋につなげる」「大きな1室を2部屋に分ける」「和室を洋室へ変更する」といったリノベーションは、配管や間仕切りなどの既存間取りの骨格を大きく崩さなくても、家具配置や生活動線が改善することが可能です。

ただし、特に築年数が経過した物件は防音性や耐久性などの問題で間仕切りごと壊して再構築した方がよい場合もあります。詳しい条件は実際にプロに見てもらうのが確実です。
水回りの大幅移動は慎重に考える
キッチンや洗面、浴室、トイレなどの水回りは、給排水管との関係があるため、居室の間仕切りより変更条件が多くなります。
特に既存の水回りから大きく位置を変えるようなプランは技術的に不可能なケースもありますし、可能な場合でも配管工事が大規模になり、費用がかなり増えやすくなるため注意が必要です。
マンションの間取り変更で失敗しないための考え方
変える箇所を増やすほど暮らしやすくなるわけではありません。何を変えたいのか、変更することでどのようなメリットがあるのかを整理してから計画することが重要です。
「変える意味があるか」を考える
マンションの既存間取りは、配管、窓位置、柱や梁、生活動線など、建物の条件を踏まえて設計されているため、注文住宅のようにゼロから自由に考えるのとは前提が異なります。
既存間取りに大きな問題がなければ、無理に配置を変えるよりも「LDKだけ少し広げたい」「独立キッチンだけ開きたい」「使わない和室を洋室にしたい」など、現在感じている不満だけを解消したほうが、工事費を抑えながら暮らしやすくなる場合もあるでしょう。
部屋数・開放感のバランスを見る
部屋を減らせばLDKを広くできますが、将来的に個室が不足する可能性があります。反対に、部屋を増やせば家族それぞれの空間を確保できる一方、一室ごとの広さやLDKの開放感は小さくなるでしょう。
今必要な部屋数だけでなく、将来的な家族構成や働き方まで考えておくことが大切です。0LDKの事例のように、最初は大きな空間として使い、必要になった段階で個室を追加できる設計にしておく方法もあります。
後から部屋をつくる予定がある場合は、間仕切り位置だけでなく、各室のエアコン、照明、コンセント、窓などもあらかじめ考えておくと変更しやすくなります。
収納もあわせて考える
間取り変更では、LDKや個室の広さだけでなく、収納量もあわせて考えることが重要です。
例えば和室を洋室へ変更する場合は、押し入れをクローゼットへ変更し、ハンガーパイプや可動棚を設けることで、洋服や日用品を収納しやすい形にできます。
一方、LDKを広げたり個室数を増やしたりすると、その分収納スペースが削られることがあります。収納が不足すると、完成後に家具や収納用品を置くことになり、せっかく広げた居住スペースが狭くなる場合もあります。
既存収納を活かせる場所はなるべく残しつつ、間取り変更後の生活で必要な収納量まで考えて計画しましょう。
自分の生活に合った間取りを考える
マンションの間取り変更では、壁の位置や部屋数、キッチンの向きなどを変えることで、同じ専有面積でも暮らしやすさを大きく変えられます。
一方で、配管を大きく動かすような工事は費用が増えやすく、既存間取りを活かしたほうが合理的な場合もあります。
大切なのは、「どこまで変えられるか」だけでなく、「何を変えると暮らしやすくなるか」を考えることです。
実際の施工事例も参考にしながら、部屋数、LDKの広さ、収納、生活動線などの優先順位を整理し、自分の暮らしに合った間取りをプロに相談しながら決めることをおすすめします。
