
家具のデザインや色だけでなく、内装の素材、光の入り方、眺望、生活動線まで読み解きながら、空間全体の世界観を組み立てていく「インテリアコーディネート」。
今回は、パックシステムのリノベーション物件でステージング(室内演出)を手がけた株式会社クラスのインテリアコーディネーター・橋本さんに、家具選びや配置の基本、都心マンションを広く見せる工夫、そして今回の物件のステージングで意識したポイントについて伺いました。
Q.今回のリノベーション物件におけるステージングのポイントはなんですか?

空間に元々あるカラースキームを意識したコーディネートがポイントかなと思います。
インテリアを組むとき、まず着目したのは白と黒のコントラストが印象的なキッチンです。シンプルな内装に合わせて、ベースにはグレーベージュなどの落ち着いた色を使い、ところどころグリーンなどを差し色として取り入れました。

また、一番強い印象を与える眺望がフォーカルポイントになるよう、窓際にグリーンを配置しました。都心のタワーマンションであることも踏まえ、空間全体としては高級感のあるホテルライクな世界観を意識しています。
Q.パックシステムのリノベーション物件にどんな印象を抱きましたか?

とてもコーディネートしやすい内装だと感じました。色や素材の個性はありながらも、合わせる家具のテイストを限定しすぎないため、さまざまな世界観を作れる空間だと思います。
また、実際に物件へ足を踏み入れて初めて気づいたのが、床材へのこだわりです。素材の選定にも細かな意図があることが伝わってきました。
Q.この間取りならではの工夫をした配置があれば教えてください。

今回の物件はLDK全体で約19.3帖と、空間としては十分広いのですが、少し縦長の間取りでした。
このような空間は「圧迫感を与えないように」とつい小さめの家具を選んでしまいがちです。しかし、サイズの小さな家具を細かく並べてしまうと、かえって余白が目立ち、空間が間延びして狭く見えてしまいます。
そのため、コーディネートの際には家具を小さくするのではなく、配置を工夫して余白とリズムを作るよう心がけました。

例えばダイニングテーブルは、キッチンカウンターにぴったりと付けず、少し位置をずらしています。
意図的に余白をつくることで、ダイニングを一つの独立したゾーンとして見せながら、空間全体に動きを生み出しました。また、移動のときに動線を確保しやすくなる効果もあります。
限られた空間では、できるだけ家具を壁際に寄せたくなりますが、全てを壁や設備に合わせてしまうと、単調な印象になることがあります。
必要な動線を確保したうえで、あえて少しずらして配置することも、空間を整えて見せる方法の一つです。
Q.現在のトレンドを今回のインテリアコーディネートに取り入れた部分はありますか?

今は、異素材を組み合わせたコーディネートがトレンドになっています。今回のステージングにも、異なる質感のファブリックを組み合わせて配置するという形で流行を取り入れました。
あとは、アーチ形状や丸みのあるフォルムで空間にメリハリをつける手法も取り入れています。
例えば、窓際に設置したソファは、色としては内装に合わせた明るめのグレーですが、柔らかい独特な素材を採用することで、空間に変化や奥行きを加えました。
ところどころ丸みを帯びた形状のものを選んだのもポイントですね。直線的な要素が多いマンションの内装に曲線を取り入れると、空間の印象が柔らかくなります。
色については、テラコッタ、グリーンなどの自然を感じさせる色調が注目されています。今回のコーディネートでも、空間全体を落ち着いた色でまとめながら、ミモザイエローなどの優しい色をアクセントとして取り入れました。

また、ダイニングテーブルには、石目調など素材の存在感を感じられるデザインを採用しています。
特定のスタイルだけで統一するのではなく、異なる時代やテイスト、素材を組み合わせる「エクレクティック」の考え方を取り入れながら、今回の物件に合うバランスに整えました。

橋本 真代(Mayo Hashimoto)
株式会社クラス 法人事業本部レジデンシャルデザイン部
大手電機メーカーでの役員秘書、人材開発・企画を経てインテリアコーディネーターへ転身。
大手インテリアデザイン会社での高額富裕層向けデザインを経て独立。インテリアコーディネーターとして15年以上にわたりキャリアを重ね、年間120邸以上の個人邸のインテリアコーディネートのほか、GINZA SIXの店舗デザインやホテルの空間プロデュース・コンサルティングを展開。
2026年より、株式会社クラスの循環型モデルに共感し、法人向けホームステージングを担当している。

