
金利上昇が進む昨今、住宅ローンを組むときの考え方は変化しつつあり、変動金利と固定金利どちらを選ぶか悩む方も多いと思います。
結論、どちらが絶対にお得ということはなく、自分の収入や貯蓄、今後のライフプランを踏まえたうえでどのような金利リスクなら許容できるのかを考えることが大切です。
特に中古マンションを購入する場合は、住宅ローンだけでなく、ランニングコストや将来的な住み替えの可能性なども含めて資金計画を立てる必要があります。
本記事では、中古マンションの購入を検討している方に向けて、2026年現在の金利状況を踏まえながら、変動金利と固定金利のメリット・デメリットを改めて整理します。

村上広宗
パックシステムSL課課長。不動産仲介会社での経験を活かし、SUUMOなどのポータルサイトの運用・直販事業に携わる。
宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・猫/犬との住まいのアドバイザーを保有。
2026年の金利動向
金利タイプを考えるうえで、まず押さえておきたいのが2026年現在の金利動向です。
ここ数年で住宅ローンを取り巻く環境は大きく変わっており、固定金利も変動金利もそれぞれ上昇局面に入っている状況です。詳しく見ていきましょう。
政策金利をさらに引き上げ
日本銀行は2026年6月、政策金利を0.75%程度から1.0%程度へ引き上げました。2025年12月に0.5%程度から0.75%程度へ引き上げてから、半年ほどで再度の利上げが行われたことになります。
今後も短期間で一気に金利が上がるとは考えにくいですが、半年から1年単位でじわじわと金利が上がっていく可能性は十分にあるでしょう。
各銀行の変動金利も1%前後まで上昇

変動金利は、一般的に短期プライムレートの影響を受けます。大まかには、政策金利が上がると短期プライムレートも上がり、それに連動して住宅ローンの変動金利も上がるという仕組みで金利が上昇していきます。
実際に、三井住友銀行の短期プライムレート連動の変動金利型の店頭表示金利を見ると、2024年1月は2.475%でしたが、2025年1月には2.625%、2026年2月には2.875%、2026年7月には3.125%まで上昇しています。2年半ほどで約1.3倍になっている計算です。

ちなみに、実際に借りるときは店頭表示金利から金利引き下げ幅が適用された後の金利になります。
固定金利も漸増
固定金利は短期プライムレートと直接連動しているわけではありませんが、長期金利や市場環境の影響を受けて上昇傾向にあります。
三井住友銀行の超長期固定金利型の店頭表示金利を参照すると、借入期間20年超35年以内の場合、2024年1月は3.09%でした。これが2025年1月には3.29%、2026年1月には4.46%、2026年7月には5.12%まで上昇しています。
短期間での上昇幅だけを見ると、固定金利の負担感はかなり増している印象です。
現在も7割以上が変動金利を選択

2026年1月に発表された住宅金融支援機構の調査※では、住宅ローンの金利タイプは変動型が75.0%と最も多くなっています。
固定型を選択した方(固定期間選択型・全期間固定型の合計)は約25.0%と一見少なく見えますが、前回調査より増える結果になっています。
依然として変動金利を選ぶ人が多数派ではあるものの、固定金利を選ぶ人も少しずつ増えている状況といえるでしょう。
※住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果<住宅ローン利用者調査(2026 年1月調査)>」
変動金利の特徴
変動金利型は、借入後に金利が変わる可能性がある住宅ローンです。金利が変動するリスクを住宅ローン利用者が負う分、一般的には全期間固定金利型よりも低い金利で借りやすいという特徴があります。
返済額の急激な上昇を抑える仕組みとして、多くのローンにはいわゆる「5年ルール」や「125%ルール」が設けられています。
5年ルールとは、金利が上がっても原則として5年間は毎月の返済額が変わらない仕組みで、125%ルールとは、5年ごとの返済額見直しの際に、毎月の返済額が直前の1.25倍までに抑えられる仕組みです。
急に返済額が跳ね上がり、すぐに家計が成り立たなくなるような事態を避けるための仕組みはありますが、金利上昇による負担そのものがなくなるわけではない点には注意が必要です。
変動金利のメリット
変動金利の大きなメリットは、一般的に全期間固定金利型よりも金利が低く、借入当初の返済額を抑えやすいことです。
固定金利では借入時の金利が基本的に変わらないため、金利が下がった局面では変動金利の方が有利になることがあります。

ただし、2026年現在の市況を考えると、金利が大きく下がることを前提に変動金利を選ぶのは避けた方がよいでしょう。
変動金利のデメリット
変動金利のデメリットは、世の中の金利が上昇した場合に、総返済額や毎月の返済額が増える可能性があることです。
特に返済期間が長い場合、途中で金利が上がれば、その後の家計に大きく影響するリスクが高まります。
中古マンションの場合は毎月管理費や修繕積立金がかかるため、金利上昇とランニングコストの上昇が重なると、想定していたよりも住居費全体が重くなることがある点には注意が必要です。
実際、東日本不動産流通機構が公表した首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金の調査を見ると、平均のランニングコストはここ数年で着実に上がっています。
| 年 | 月額管理費(1戸当たりの平均) | 月額修繕積立金(1戸当たりの平均) |
|---|---|---|
| 2020 | 13,430円 | 11,737円 |
| 2021 | 13,203円 | 11,770円 |
| 2022 | 13,302円 | 12,085円 |
| 2023 | 13,639円 | 12,580円 |
| 2024 | 13,847円 | 13,177円 |
| 2025 | 13,895円 | 13,910円 |
特に築年数が経っているマンションや、共用設備が充実しているマンションでは、将来的に修繕積立金が大きく引き上げられるケースもあります。
金利が1%、2%上がった場合の返済額を試算し、さらに管理費や修繕積立金が上がった場合でも生活に余裕が残るかを確認しておきましょう。
固定金利の特徴
固定金利は、借入時に完済までの適用金利と返済額が確定します。
全期間固定金利型は、金利が変動するリスクを金融機関(貸し手)が負っているため、一般的には変動金利型よりも金利が高く設定されています。
固定金利のメリット
固定金利のメリットは、借入後に世の中の金利が上昇しても、総返済額や毎月の返済額に影響しないことです。
借入時点で返済額が確定するため、長期的な資金計画を立てやすくなり、安心感があります。
固定金利のデメリット
固定金利のデメリットは、世の中の金利が下がったとしても、原則として返済額が変わらないことです。
変動金利であれば、金利が下がった場合に返済負担が軽くなる可能性があります。しかし、全期間固定金利型では借入時の金利が固定されるため、借入後に金利が下がっても、その恩恵を受けにくくなります。
また、固定金利は一般的に変動金利型よりも金利が高く設定されています。そのため、同じ借入額でも家計への負担がやや大きく感じられるでしょう。
固定金利期間選択型などの選択肢もある

固定金利には、全期間固定金利型だけでなく、固定金利期間選択型という選択肢もあります。
固定金利期間選択型は、3年、5年、10年など、返済開始から一定期間だけ金利を固定する住宅ローンです。固定金利期間中は返済額が変わらないため、一定期間は家計の見通しを立てやすくなります。
固定金利期間が終了した後は、その時点の金利水準で再び固定金利期間を選ぶか、変動金利型に切り替えるかを選べるのが一般的です。
固定期間終了後は、借入当初より金利の優遇幅が小さくなる場合がある点には注意が必要です。
自分のライフプランに合った金利タイプを選ぶ
2026年現在は、政策金利の引き上げを受けて変動金利・固定金利ともに上昇傾向にあります。状況は変わりつつありますが、どちらが不利・有利と一概に語ることはできません。
借入期間、将来の住み替え予定、収入や貯蓄、金利上昇時にどこまで負担を受け入れられるかによって、向いている金利タイプは変わります。
住宅ローン単体ではなく、住居費全体で無理のない資金計画を立てるようにしましょう。
どちらを選ぶか迷った場合は「どのリスクなら受け入れられるか」という視点で考えることが大切です。
現在だけでなく、10年後、20年後のライフプランまで見据えながら自分に合った住宅ローンを選びましょう。
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