
同性パートナー同士でも、対応している金融機関であればペアローンを利用できます。
以前はペアローンを利用できる相手が法律上の配偶者や親子に限定されるケースが一般的でしたが、現在は同性パートナーを配偶者と同じように取り扱い、ペアローンや収入合算の対象にする金融機関も増えています。
本記事では、同性パートナーがペアローンを組むための条件や注意点をご紹介します。

村上広宗
パックシステムSL課課長。不動産仲介会社での経験を活かし、SUUMOなどのポータルサイトの運用・直販事業に携わる。
宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・猫/犬との住まいのアドバイザーを保有。
同性パートナーがペアローンを組む条件
ペアローンは、二人それぞれが契約する形の住宅ローンです。
二人とも債務者となるため、条件を満たせば二人とも住宅ローン控除や団体信用生命保険を利用できる点がメリットです。
その一方で、契約が2本になるため、事務手数料や登記費用などの諸費用もそれぞれにかかります。借入可能額を増やしやすい反面、返済負担や初期費用が大きくなりやすい点には注意が必要です。


ちなみに、住宅ローンの組み方としてはペアローン以外にもいくつか選択肢があります。一人が住宅ローンの債務者となり、もう一人の収入を合算して審査を受ける「収入合算」や、一つの住宅ローンについて二人がともに返済義務を負う「連帯債務」という方法を取るケースもあります。
詳しい条件や必要書類は金融機関によって異なるため、申込前に利用したい金融機関の条件を確認しておきましょう。多くの金融機関では、以下の条件のうちいずれか、もしくは複数を満たす必要があります。
任意後見契約を結ぶ
任意後見契約とは、将来どちらかの判断能力が不十分になった場合に備えて、生活や療養看護、財産管理に関する事務を相手に任せるための契約です。
ペアローン契約時には、二人の関係性を確認する資料として任意後見契約を求められることがあります。
任意後見契約は、公正証書で作成します。住宅ローンのためだけでなく、将来的な財産管理や関係解消時の取り決めを整理するうえでも役立ちます。
ローンの有無にかかわらず、早めに専門家へ相談して準備しておくと安心でしょう。
関連する他の書類が必要なケースも
金融機関によっては、任意後見契約だけでなく、二人が互いに協力し、生活基盤を共にする関係であることを確認する「合意契約」を求められることがあります。
合意契約に関しても、公正証書で作成するよう求められるケースがあります。
また、任意後見契約を公正証書で締結した場合、その契約が登記されていることを示す登記事項証明書の提出を求められることもあります。
同居が確認できる書類を用意する
同性パートナー同士で住宅ローンを申し込む場合、住民票など同居していることを確認できる書類を求められることがあります。
一部の金融機関では、住民票などで同居を確認できるとペアローンが契約できる場合もあります。
パートナーシップ証明書
2015年に渋谷区で導入されたことを皮切りに、現在では多くの自治体でパートナーシップ制度、もしくはそれに類する制度が導入されています。
ペアローンの審査時にも、自治体制度で発行されているパートナーシップ証明書が必要になることもあります。
同性パートナーがペアローンを組む際の注意点
同性パートナーの場合、法律上の婚姻関係にある夫婦とは制度上やや異なる点があります。
ペアローンを契約する際に注意すべきポイントをいくつかご紹介します。
法定相続権がない
法律上の婚姻関係にある夫婦であれば、一方が亡くなった場合、残された配偶者は法定相続人になります。しかし同性パートナーの場合、ペアローンで住宅を共有していても亡くなった方の持分を残されたパートナーが自動的に相続できるとは限りません。
遺言書が亡くなった方の親や兄弟姉妹などの法定相続人が持分を相続し、残されたパートナーと共有状態になる可能性があります。
また、法律上の配偶者ではないため、配偶者居住権の対象にもなりません。亡くなった方の持分を相続できなければ、残されたパートナーがその家に住み続けられるとは限らない点にも注意が必要です。
万が一の事態に備え、遺言書の作成や生命保険の活用など、早い段階で相続対策を考えておく必要があります。
金融機関ごとに必要書類が違う
同性パートナー向けのペアローンは、金融機関によって条件が異なります。
ここまでご紹介してきた通り、パートナーシップ証明書で申し込める場合もあれば、任意後見契約や合意契約の公正証書、登記事項証明書などを求められる場合もあります。
物件探しと並行して、早めに金融機関へ条件を確認しておくことが大切です。
関係解消時の財産分与が複雑
これは法律上の婚姻関係にある場合も同様ですが、ペアローンは共有名義でローンを組むため、関係を解消することになった場合の取り決めが複雑になりがちです。
どちらが住み続けるのか、物件を売却するのか、住宅ローンをどのように処理するのかといったルールを、あらかじめ当事者同士で決めて契約書で定めておくことが重要です。
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